KCTコミちゃん（倉敷ケーブルテレビ）

昔な、あるところにお寺があって、和尚さんと小僧さんがおったんじゃな。ある日、檀家の人が「和尚さんすみませんが、こんどの何日に、うちの法事をしようと思いますんで、ひとつよろしゅーお願いします」ゆーたら、和尚は、「いやーその日は別の家の法事があって、だめじゃな。まーえ、うちの小僧をやるから、小僧で、こらえてくれーな」「ええ、小僧でも誰でも結構でございますんで」ゆーたんじゃな。その日になって小僧が、その檀家の家の法事に出かけて行った。小僧は、お経を一つも知らんのじゃ。じゃけど、和尚さんから言われたから檀家の法事に行った。いきょーたところが、スズメがいの枝にチュンチュン、チュンチュン何羽もにぎやかない鳴いとるもんじゃから、石を拾うてパーンと投げたところが、一発でうまいぐあいに当たってパタパタパターと下に落ちた。小僧は、それをすぐに捕まえて「こりゃあ、今晩のさかなにしよう」と思って、毛をむしって、羽をとって、懐の中に入れて、そうして、檀家に行ったんじゃな。檀家に行ったら、そうしたら、子どもたちがワイワイ走り回って、遊んどる。小僧は、子どものもんじゃから、その子どもの中に入って一生けんめい遊びょーたら、檀家の人が「小僧さん、小僧さん、こっちへ、はよー上がって、お経をあげてつかあさい」ゆーもんじゃから、小僧さんは、「お経をあげんといけんのんじゃ」と思って、上がってお経をあげることにことになったんじゃな。前に座って「お経を知らんからどうしょうかな」と思ったら、さっき取って羽も毛もむしったスズメを懐の中に入れとったのが。モゾモゾいごく。「あっ」と思うて見たら、まだ生きとる。それを見て、小僧さんは、「そうじゃ、これをお経にしてやろう。この毛も羽もない、スズメが立とうとしとるから、これをお経にしてやろう」と思って、『チーン』と金をたたいて、そうして拝んだんじゃな。「もんじり、もんじりー。なんぼー　ひっぱってもー　きゃーなし、はねーなしー　たつことはできんぞよー　もんじり、もんじりー　なんぼー　ふんばってーもー　きゃーなし、はねーなし、たつことはできんぞよー」『チーン、チーン』「いやー仏さまを拝ましていただきました」「いや、どうもありがとうございました」そう言って小僧は、無事に法事を済まして帰ったんじゃな。そういう話があるんじゃ。昔こっぷり。