総社の観光とその魅力を学ぶ今年の総社観光大学で、「古代吉備」を学ぶをテーマに公開講座が行われました。備中神楽「吉備津」も上演されるなど、参加者達は古代吉備ロマンに思いをはせていました。
白木綿一反を張り渡し、血吸川に見立て吉備津彦命と温羅が弓矢をたがえて戦うのは、温羅伝説をもとにした備中神楽「吉備津」のクライマックスシーンです。今年の総社観光大学では、備中神楽から「古代吉備」を学ぶをテーマに26人の受講生だけでなく一般を対象にした公開講座が開かれました。備中神楽の上演に先立って行われた講義では、岡山県出身で東京芸術大学非常勤講師の民俗学者加原奈穂子さんが「桃太郎を考える昔話から伝説へ」と題して、なぜ、岡山は、桃太郎ゆかりの地となったかなどを話しました。講師の加原さんは、岡山の名物「きびだんご」や「桃」だけでなく吉備津彦命の温羅退治伝説を桃太郎伝説と結びつけたことが一番の要因であると解説しました。吉備津神社の縁起に関する神話劇、備中神楽「吉備津」は、大和朝廷から遣わされた『吉備津彦命』が『温羅』を退治する物語です。備中国の「岩山明神」に新山で邪道をはたらく温羅を退治するよう依頼を受けた吉備津彦命は、「岩山明神」の娘「内宮姫」から『二本の矢をつがえて同時に射るように』と温羅の攻略策を授かります。吉備津彦命と温羅は、弓矢をたがえてさぐりながら激しい合戦を繰り広げ、やがて温羅が降参して幕となります。「国譲り」「岩戸開き」「大蛇退治」の演目で知られる備中神楽ですが、温羅伝説をもとにした「吉備津」は、備中神楽でしかみることができない演目です。総社観光大学公開講座の参加者は、備中神楽から「古代吉備のロマン」を感じとっていました。なお、総社観光大学をプロデュースする民俗学者の神崎宣武さんは、総社の観光の魅力アップのために備中神楽「吉備津」を上演する機会を増やすよう総社市へ提案しました。




