町家や蔵の外壁として使われる「焼き杉板」の製作体験会が、先月29日、瀬戸内市で行われました。
体験会を開いたのは、町家の再生などに取り組んでいるNPO法人・倉敷町家トラストで、建築・設計や土木関係者など未経験者10人が参加しました。長年焼き杉板をつくってきた瀬戸内市長船の材木店と工務店の協力で、長さ2メートル、幅30センチ、厚さ12ミリの杉の板150枚を焼きました。焼き方は、3枚の板を針金で留めて三角状の筒にしてから、煙突のように火の上に立てて内側を焼くというシンプルなやり方で、1分余りで出来上がります。しかし、板のあわせ目に焼き残しがないように鎌を隙間に入れて火を通したり、まんべんなく焼けるように筒を上下にひっくり返すなど、短時間にすばやく作業を行う必要があります。参加者は初体験ということもあり、焼き過ぎてしまうこともたびたびでしたが、手作りする苦労や喜びを実感した様子で、今後の生活や仕事に生かしたいと満足気でした。耐久性に優れる焼き杉板は、姫路から福山まで瀬戸内地域の広い範囲で家屋などの壁に使われていて、倉敷でも白壁と並ぶ伝統的な街の風景をつくってきました。主催した倉敷町家トラストでは、町家の再生や景観保全のひとつとして、焼き杉板の活用を考えていて、今回の体験会を開きました。倉敷町家トラストでは、来月3月に、市内の塀に焼き杉板を取り付ける活動にも協力することにしていて、今後も街の風景の再生に力を入れていくことにしています。




