宇宙環境で育て、世界で初めて収穫に成功した小麦の種を地上で栽培する実験が、倉敷市の岡山大学資源植物科学研究所で行われています。
国際宇宙ステーションで収穫した小麦の種が、地上でも芽を出しました。
「宇宙での食料生産に対して大きな一歩となる・・・」
宇宙小麦の発芽に成功したのは、岡山大学資源植物科学研究所の杉本学准教授です。杉本准教授は、ロシアの科学アカデミー生物医学研究所と国際宇宙ステーションを使った共同研究を進めています。これまでに、宇宙で保存した大麦の子孫を使った「宇宙ビール」を企業と共同で作るなど成果を挙げています。
今年9月、杉本准教授は、新たな共同研究のため、ロシア科学アカデミー生物医学研究所に向かいました。そこで杉本准教授に手渡されたのは、国際宇宙ステーションで育て世界で初めて収穫に成功した小麦の種で、今年3月、ロシアのソユーズが地球に持ち帰ったものです。宇宙小麦は、全部で15粒収穫、そのうち杉本准教授に託されたのは5粒と、宇宙環境が植物に与える影響を調査する上で大変貴重です。
杉本准教授「特に、宇宙放射線。遺伝子とか細胞に損傷を与え、変異を及ぼしたり生育を妨げたりした影響で種子があまり取れなかった。あるいは、微小重力という環境も大きく影響している」
今月22日、杉本准教授の研究室で、宇宙小麦の栽培実験がはじまりました。栽培実験では、宇宙小麦の種、さらに、比較のために、ロシアで育て宇宙で保存した小麦の種とロシアで保存した種の合計3種類を水を張ったシャーレーに植えつけて発芽させます。
杉本准教授「国際宇宙ステーションで小麦の種が収穫できたのは、世界で初めてですので、これが発芽するかどうかドキドキしている。発芽は二三日後には分かる」
3日後、宇宙小麦5粒のうち4粒が発芽しているのが確認出来ました。
杉本准教授「宇宙ステーションでの小麦の栽培実験では、種子を得る確率が3%と低かったが、種子が得られれば、それは通常の小麦と同じ発芽率を持つということが分かる。」「宇宙での食料自給という可能性を高める結果が得られた。今後は、栽培を続けて生育を地球上のものと比較して、宇宙環境の影響を調べて行きたい。」
宇宙小麦は、半年後には収穫できます。




