西日本豪雨からまもなく1年5ヵ月。
倉敷市は災害による犠牲者の状況などを明らかにし犠牲者ゼロの町づくりに向けて有識者と意見を交換しました。
倉敷市が今年9月に発足した検討会は委員長に東京大学大学院の片田敏孝特任教授をはじめ、真備町の箭田小学校長、まちづくり推進協議会など8人で構成しています。
検討会で市は、真備町の水害で犠牲となった51人のうちおよそ9割が65歳以上の高齢者、3割が1人世帯、そして重度の要介護者と身体障がい者がそれぞれ1割だったと報告しました。
51人のうち22人が2階建ての1階部分で亡くなっていて、12人が倉敷市の定める重度の要支援者にあたります。
委員からは倉敷市における災害時の要援護者の定義が65歳以上の高齢者のみの世帯などと広く、およそ4万人が対象なのに対して、重度の要支援者とする区分が要介護「3」以上もしくは1級、2級の身体障がい者と、絞り込みが厳しい、との指摘がありました。
地域と行政の役割を別々で考えるのではなく、まずその地域で「共助」の体制づくりを進めていき、その中で行政の支援が必要なところを精査する関係性を構築していくことが大切だと話し合われました。
学校での防災の取り組みに関して有識者からは、座学をイメージする「防災教育」という意識ではなく「地域の育み」の環境を整えることが必要だと訴える声があがりました。
学校にすべてを投げてしまうのではなく、昔の知恵やその土地のことをよく知る地域住民の出前授業を組み込むことや、道徳や社会、保健体育といったさまざまな授業を横断して行うなどの案が出されました。
子どもたちが大人になる10年先を見据えて地域みんなで参画していける環境が大事だと考えをまとめました。
倉敷市は今回挙がった内容を持ち帰り、今年度残り2回の検討会で具体的な提言書を作成します。
倉敷市真備町で被災したおよそ5000人は、いまだ仮設住宅での暮らしが続いています。
およそ8割の住民が住宅再建を望んでいるなか、二度と犠牲者を出さないための地域づくりの見直しも進められています。
終わり♯




