大原美術館が行う若手作家の支援事業「ARKO」に選ばれた黒宮菜菜さんの作品が展示されています。
黒宮さんの作品は、光の当たり方で違った表情を見せます。何層にもなって映し出される額縁のなかの世界。
会場に並ぶ作品は、横溝正史が太平洋戦争中に倉敷市真備町に疎開したときに執筆した「獄門島」などをテーマに描かれています。
最初の部屋には、金田一耕助など獄門島の外からやってきた人たちを描いた作品が展示されています。
黒宮さんが「獄門島」に惹かれたのは、敗戦後の日本が大きな変革を余儀なくされるなか、閉鎖的なコミュニティを維持しようとする力との「葛藤」でした。
次の部屋で登場する三姉妹は、横溝がその葛藤を描写した「美しい、しかしどっか尋常でない三輪の狂い咲き」を表現して描かれています。
これらの作品は、絵の具とオイルを塗っては乾かすことを繰り返し行うことで分厚い層をつくりだしています。
ひときわ大きいこちらの作品は、さきほどの三姉妹の母で染料を使って和紙に描いています。
大きな和紙に滲む姿や、額縁に囲まれた中で大量のオイルに溶け出すさまは閉鎖的なコミュニティで予想もできない影響をもたらす関係をつくる横溝正史の作品の世界と重なります。
黒宮さんの作品は12月27日まで展示されています。
また、作品がプリントされたTシャツも100着限定で販売しています。♯




