総社市の公民館単位で進められている石仏・石造物調査から秦(はだ)地区の石畳(いわだたみ)神社と姫社(ひめこそ)神社で行われた石仏・石造物調査の様子ご紹介します。
総社市秦の高梁川の右岸にそそり立つ巨大な岩の柱これこそが石畳神社の御神体高さ60メートルの磐座です。石畳神社は、平安時代に編纂された延喜式神名帳に名を連ねる式内社で神社の歴史は古く万葉集にも歌われています。「石畳神社は、高梁川の氾濫を鎮める神として祀られた」神が鎮座する磐座をはじめ、地蔵や灯ろう、鳥居や記念碑といった石仏や石造物は、その姿、形、大きさなどを調べ、そこに刻まれた文字を読み取ることで、人々の信仰や習わし、地域の歴史を知る手がかりとなります。総社市では、平成13年から市内に点在する石仏を地域別に調査しています。秦地区でも公民館の呼びかけで集まった住民ボランティアが岡山民俗学会名誉理事長の立石憲利さんを中心に地道な石仏調査を行っています。その中で興味深いものが見つかりました。一寸徳兵衛の墓です。一寸徳兵衛とは、歌舞伎の演目「夏祭浪花鑑」に登場する江戸時代の侠客で実在の人物です。倉敷市玉島の庄屋に生まれましたが総社市秦の松永家に預けられました。大阪に出て義理人情に厚い侠客「一寸徳兵衛」となった人物ゆかりの地ということで、その遺徳を偲びここ秦地区の石畳神社参道わきにに墓が建立されています。石畳神社から西へおよそ1・5キロ総社市福谷に古代吉備の国が鉄の文化で栄えたことを関係づける珍しい神社があります。製鉄の神比売語曽(ひめこその)神(かみ)を祀る姫社(ひめこそ)神社です。ここでも明神鳥居や石灯ろう、手洗石といった石仏がありました。地道な石仏調査には、地域への愛着を育み若い世代へ歴史を伝えていくという大きな役割があるようです。【インタビュー】岡山民俗学会名誉理事長・立石憲利さん




