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立石おじさん お話の世界30「酒三升」

昔あるところにな、酒の好きな男がおったんじゃ。酒が好きだというよりか酒にきたないといったほうがえーかな。もう朝から酒を飲む、晩にのも酒を飲む。酒ときたら、どこでも出かける。そういう男がおったんじゃ。その男があるときに、町に出かけて、町の中を歩いておったら、散髪屋の前に、看板が出とった。『剃りそこないをしたら、酒三升、出す』そう書いてある。「こりゃあ、酒三升と書いてあるぞ。三升の酒が手に入ると、腹いっぱい飲めるぞ」その男はそう思うて、散髪屋の中に入って、「あ、こんにちは、ひとつ散髪をしてもらいたいんじゃけど。表の看板には偽りはなかろうな」「へー偽りはございません。うちは、剃りそこないなんかするような店じゃありません。万が一にも剃りそこないをしたら、そうしたら看板のとおり、酒三升を差し上げます」「そうか、そうじゃったら、ひとつ、散髪をしてもらおう」そういうことで、男は散髪してもろうた。顔を剃る段になってもなにも間違いはない。顔を剃るのは、そーっと羽で顔をなぜるように気持ちよーに剃っていく。「これじゃ、剃りそこないはおこらんぞ」と思うとったら、鼻の頭を剃りはじめた・今を逃したら、もう剃りそこないはないと思って、男は、わざと「ハクション!」とやったところが、鼻の頭がスパッと、切り落とされたんじゃ。散髪屋は、慌てて「いや、どうもすみません、すみません」いったけど男は、鼻の頭から血がだらだら流れとんのも気にもしないで「はよう、酒三升、持ってこい。剃りそこないじゃ」ということで、酒三升だけもらったら、そのまま、店を出ていったんじゃな。そうして家に飛んで帰って、「かかあー、きょうは、えー事があったぞ」「何があったんですかな」「いや、見てみー、酒三升、酒三升、もろうて来た」「なんで、酒三升、もらわれたんですらー」「剃りそこないがあったら、酒三升出すゆーて、散髪屋に鼻の頭を剃り落とされた。それで、酒三升、手にいれたんじゃ」言ったら、「なにが酒三升なら、あんた、鼻の頭を剃り落とされて、一生の損じゃがな」言ったら、「いやいや、一生そんしても、差し引き、二しょうの徳じゃ」そう言うたんじゃって。昔こっぷり。

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  • 放送日:2013/08/26(月)
  • 担当者:中塚美佐子
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