KCTコミちゃん（倉敷ケーブルテレビ）

なんと昔、ある時に、海のタコとエビとナマコが一緒になってな、「ありゃ、三人が一緒になることは珍しい、三人一緒に旅でもせんか」「おー、そりゃあええな、伊勢参りでもしょうじゃないか」言うことで、タコとエビとナマコが伊勢参りに出かけたそうな。タコはぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃ、歩いていくし、エビは、ピョンピョン、ピョンピョン、ピョンピョン、飛ぶようにしていく。ナマコは、モゾモゾ、モゾモゾ、モゾモゾ、三人歩いていってそうな。「あーだいぶ歩いたな。ちょっとくたびれたから一休みせんか」三人は、松の木陰で体をだーっと投げ出して、休んどったところが、タコが「あーこねーして休んだじゃけじゃあ、おもしろうねから、休みながら、一つ芸でもせんか、そうしたら、おもしろいぞ」言うたらほかのもんの「ほんなら、芸くらべでもせんか」言うことになったそうな。「じゃー言いだしぺのわしからしょうか」タコが松の木をグニャグニャ、グニャグニャ、と上っていって松の木の枝に顎をひゅーっとかけてダラーッと垂れて、「松に下がり藤じゃあどうかいな」言うたんじゃって。そうしたところが、他のもんが「いやーほんに下がり藤じゃ見事なもんじゃ」いうて手をたたいたんじゃ。そうしたらその次にエビが「じゃ、次にわしがしょうか」いうことで、ピョンピョンピョンと松の木に上って行って松の枝ヒゲをプリッとひっかけてタランと釣り下がった。そうしたら、エビの体がクリンと曲がって「松に三日月どうかいな」言うたところが「おーほんに、松に三日月じゃ見事見事」言ってほかのほんが拍手をしたんじゃな。「いや、本当にエビさんの体が曲がった様子が三日月によう似とった。じゃあ、最後ナマコさん、あんたやりんせい」「いや、わしゃ、手も足もないからできんから、こらえてくれ」「なにをいうか、あんた、なんでもえんじゃって、遊びなんじゃから、なんでもええから、やってくれー」「いや、もうわしゃ、こらえてくれー」「まあ、そんなことをいわんでもええから、やってみんさい」言ったらナマコが「ほんなら、してみるぞ、笑いんさんな、砂場で体をクルクルクルーッと回したら、砂場に丸ができた。その真ん中にパッと横に体を伸ばしたところ、そうして丸に一文字どうかいな」言ったらタコさんとエビさんが「いや、たいしたもんじゃ、たいしたもんじゃ、たいしたもんじゃ、ナマコさんが一番うまかった」言って拍手をしたんじゃって。それから三人はそろって旅をしたんじゃって、昔こっぷり。